○厚岸町公害防止並びに環境保全に関する条例
昭和50年4月10日
条例第10号
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、町民が健康で文化的な生活を確保するうえにおいて、公害の防止と自然及び生活環境の適正な保全、保護が極めて重要であることにかんがみ、そのための町の施策の基本となる事項を定めることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「公害」とは、事業活動、その他の人の活動に伴つて生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態、又は水底の底質が悪化することを含む。以下同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘さくによるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によつて人の健康、又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。
2 この条例において「環境」とは、生活環境及び人の生活に密接な関係のある財産及び動植物、その生育環境、その他の自然環境をいう。
3 この条例において「特定施設」とは、工場、又は事業場に設置される施設で汚水、ばい煙、粉じん、廃液、騒音、振動、又は悪臭(以下「汚水等」という。)を排出し、又は発生するもののうち、その施設からの汚水等が公害の原因となるものをいう。
4 この条例において「工場等」とは、特定施設を設置する工場又は事業場をいう。
5 この条例において「規制基準」とは、振動、騒音、又は悪臭発生施設から排出し、若しくは発生する濃度、又は大きさの許容限度をいう。
(事業者の責務)
第3条 事業者は、公害の防止並びに環境の保全のためその管理する施設について必要な措置を講ずるとともに、町長、その他の行政機関が実施する施策に協力しなければならない。
2 事業者は、関係法令、北海道公害防止条例(昭和46年北海道条例第38号)、北海道自然環境等保全条例(昭和48年北海道条例第64号)(以下これらを総称して「関係法令等」という。)及びこの条例の規定に違反しない場合においても、それを理由として公害の防止並びに環境の保全等についての努力をおこたつてはならない。
3 事業活動、又はその他の人の活動によつて公害等の被害が生じた場合、当事者間で誠意をもつて協議し、これに係る必要な措置を講じなければならない。
(町長の責務)
第4条 町長は、第1条の目的を達成するため国、道の行なう施策にあわせて本町の自然的社会的諸条件に応じた公害の防止並びに環境の保全に関する施策を策定し、もつて町民が健康で安全、かつ快適な生活を確保できるようにしなければならない。
2 町長は、広域的な公害の防止並びに環境の保全をはかるため必要に応じ隣接する他の地方公共団体とともにその施策を講ずるように努めなければならない。
(町民等の責務)
第5条 町民及び各関係団体並びに外来者は、公害を発生させないように努めるとともに環境の保全について町長その他の行政機関が実施する施策に協力しなければならない。
第2章 公害の防止並びに環境の保全に関する施策
(調査、監視等)
第6条 町長は、公害の防止並びに環境の保全のため必要な調査、監視、測定等を行ない、常に公害等発生状況を把握するとともに、その体制の整備に努めるものとする。
(資料、情報の提供)
第7条 町長は、公害の防止並びに環境の保全に関する知識の普及を図るとともに、公害の防止等の思想を高めるように努めるものとする。
(公害等に係る苦情等の処理)
第8条 町長は、公害の防止並びに環境の保全等に係る苦情があつたときは、すみやかに実情を調査し、その苦情を適切に処理するように努めるものとする。
2 町長は、公害の防止並びに環境の保全に係る紛争が生じ、当事者から申し出があつた場合は和解のあつせんに努めるものとする。
(公害、環境監視員の設置)
第9条 町長は、公害の防止並びに環境の保全の効果的推進を期するため、公害・環境監視員を置くことができる。
(資金のあつせん等)
第10条 町長は、中小企業者等が行なう公害防止のための施設の設置、又は改善について必要な資金のあつせん並びに技術的な助言等に努めるものとする。
第3章 汚水等の発生、排出及び飛散に関する規制等
(汚水等発生施設の管理等)
第11条 事業者は、工場等から汚水等を発生し、排出し、又は飛散させる施設を適正に管理するとともに、その状況を常に監視、把握しなければならない。
(粉じん、騒音、振動等の発生防止)
第12条 事業者は、工場等の周囲に緩衝地帯、へい、その他の設備を設けるなどにより、粉じん、騒音、振動等を防止するように努めなければならない。
(事故時の措置)
第13条 事業者は、工場等において事故により公害に係る被害が生じ、又は生ずるおそれのあるときは、直ちに町長に通報するとともに応急の措置を講じなければならない。
2 前項に規定する措置を講じたときは、その状況をすみやかに町長に報告しなければならない。
(公害防止環境保全協定の締結)
第14条 事業者は、町長が町民の健康の保護並びに環境の保全のために必要があると認め、公害の防止等に関する協定の締結(改廃を含む。)について協議を求めたときは誠意をもつてこれに応じなければならない。
2 町長は前項の協定を締結するときは、あらかじめ厚岸町豊かな環境を守り育てる基本条例(平成15年厚岸町条例第1号)第27条の規定に基づく厚岸町環境審議会(以下「環境審議会」という。)の意見を聞かなければならない。
(土地利用における公害の防止環境の保全の措置)
第15条 町長は、事業活動等に伴う土地利用計画及び施行方法等について公害の防止並びに環境の保全をする上で必要な措置、指導、又は指示をすることができる。
(産業廃棄物の処理義務)
第16条 工場等を設置している事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
2 事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物の再生利用等を行ない、その減量に努めるとともに製造、加工、販売等に係る製品、容器等が廃棄物となつた場合は、その適正な処理が困難にならないように配慮しなければならない。
(特定施設の設置等の届出)
第17条 工場等に特定施設を設置しようとする者は、着工の日から60日前までに規則で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を町長に届出なければならない。
(1) 氏名、又は名称及び住所並びに法人にあつてはその代表者の氏名
(2) 工場等の名称及び所在地
(3) 特定施設の種類
(4) 特定施設の構造
(5) 特定施設の使用の方法
(6) 汚水等の処理の方法
(7) その他規則で定める事項
2 ひとつの施設が特定施設となつた場合(工事中のものを含む。)は、当該施設が特定施設となつた日から30日以内に規則で定めるところにより、前項各号に掲げる事項を町長に届出なければならない。
(承継)
第18条 前条第1項の規定による届出をした者から特定施設を譲り受け、又は借り受けた者は当該施設に係る届出した者の地位を承継する。
2 前項の規定により地位を承継したものは、30日以内に規則で定めるところにより、その旨を町長に届出をしなければならない。
(規制基準の設定)
第19条 町長は、公害の防止のため必要があると認めるときは、規制地域の指定を受け、又は規制基準を規則で定めることができる。
2 町長は、前項の規定により規制地域の指定を受け、又は規制基準を定めようとするときは、あらかじめ環境審議会の意見を聞かなければならない。これを変更し、又は廃止しようとするときも同様とする。
(規制基準の遵守義務)
第20条 第2条第5項に係る特定施設を設置している者は、当該規制基準を遵守しなければならない。
第4章 土壌の汚染及び地盤沈下の防止
(土壌の汚染の防止)
第21条 ばい煙、粉じん、又は汚水等であつてカドミウム、その他の人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質を含むものを工場等から排出し、又は飛散させる者は、これに起因する土壌の汚染を生じさせないようにしなければならない。
(地盤の沈下の防止)
第22条 工場等において動力を用いる設備を設けて地下水を採取する者は、地下水の採取に伴う地盤の沈下を防止するよう努めなければならない。
第5章 拡声機等の使用及び制限に関する規制等
(拡声機の使用の制限)
第23条 何人も、学校、病(医)院、その他特に静穏を保つ必要のある施設の周辺で商業宣伝を目的として拡声機を使用し、生活環境をそこなう音量を発生させてはならない。
(商業宣伝を目的とする拡声機使用の届出)
第24条 商業宣伝を目的として恒常的に拡声放送を行なう者は、町長に届出し、かつ規則で定める事項を遵守しなければならない。
(深夜の静穏保持)
第25条 何人も、深夜(午後10時から翌日の午前6時までの時間をいう。)みだりに騒音を発し、その周辺の生活環境をそこなうことのないようにしなければならない。
(自動車等の管理義務)
第26条 自動車等を使用する者、又は所有する者は、大気の汚染及び騒音の防止を図るため必要な整備を行ない、又は適正な運転をするように努めなければならない。
2 自動車等を使用する者、又は所有する者は、駐車場、車庫、路上及び空地において自動車等のエンジンを連続して異状な騒音を発し、付近の静穏を害してはならない。
(野外における焼却行為の制限)
第27条 何人も、住居が密集している地域においては、みだりにばい煙、粉じん、有害ガス、又は悪臭を著しく発生するおそれのある物を野外で多量に焼却してはならない。
(水産物等の運搬者の義務)
第28条 水産物等の運搬を行なう者は、路上等に積載物を飛散し、又は放置しないようにしなければならない。
(船舶使用者等の義務)
第29条 船舶を使用する者、又は所有する者は、厚岸湾、湖内外において油類及び廃棄物の排出、その他の行為により公共用水域を汚染しないよう関係法令を遵守しなければならない。
(塗装作業の規制)
第30条 野外において塗装及び吹付け作業を行なおうとする者は、風向き等の気象状況を考慮し、周辺に被害が生じないようにしなければならない。
(農薬の使用制限)
第31条 農作物、林産物及び森林を害する動植物の防除に用いる薬剤を使用する者は、その法令、使用基準及び処理の方法を遵守しなければならない。
(畜舎の管理義務)
第32条 畜舎を設置する者は、畜舎、その他付帯施設を整備し汚物、汚水の処理について適切な措置を講じて、常に良好な管理を行ない公共用水域の汚染並びに悪臭その他の公害を発生させないようにしなければならない。
第6章 改善勧告命令等
(改善命令)
第34条 町長は、前条の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その者に対し期限を定めて、当該施設を改善すべきことを命ずることができる。
2 前項の規定による命令を受けた者は、当該命令に基づく改善を行なつたときは、すみやかにその旨を町長に届出なければならない。
(停止命令)
第35条 町長は、前条第1項の規定による命令を受けた者が当該命令に従わないときは、あらかじめ環境審議会の意見をきいて、その者に対し特定施設の全部又は一部の使用の一時停止を命ずることができる。
2 町長は、関係法令等の適用のない施設、若しくはこの条例に規制基準がない場合であつても公害及び災害が発生し、又は発生するおそれがあると認めるとき並びに環境の保全上特に支障があると認めるときは、当該防止のために必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
第7章 調査審議等
(調査審議等)
第37条 環境審議会は、町長の諮問に応じ公害の防止並びに環境の保全対策に関する事項を調査審議する。
2 環境審議会は、公害の防止並びに環境の保全対策に関し必要と認める事項を町長に建議することができる。
第38条から第41条まで 削除
第8章 雑則
(報告及び検査)
第42条 町長は、この条例の施行に必要な限度において特定施設を設置する者等に必要な事項の報告を求め、又は職員に当該特定施設を設置する者の工場等に立ち入り、設備、その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、求められたときは関係人に提示しなければならない。
(規則への委任)
第43条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
第9章 罰則
第44条 町長は、第34条第1項の規定により命令した場合、その者が命令に従わないときは、その内容を公表することができる。
第45条 第35条の規定による命令に違反した者は、10万円以下の罰金に処する。
第46条 第42条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者、又は立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、3万円以下の罰金に処する。
附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行し、昭和50年7月1日から適用する。
附則(平成15年3月25日条例第1号抄)
(施行期日)
1 この条例は、平成15年4月1日から施行する。
(経過措置)
3 この条例施行の際現に改正前の厚岸町公害防止並びに環境保全に関する条例第38条第1項の規定による厚岸町公害等対策審議会の委員となっている者は、この条例の第29条第3項の規定により厚岸町環境審議会の委員の委嘱を受けたものとみなし、その任期は、平成15年6月30日までとする。