○厚岸町災害対策基本条例

平成25年3月27日

条例第23号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第4条)

第2章 自助(第5条・第6条)

第3章 共助(第7条―第10条)

第4章 公助

第1節 基本方針(第11条―第13条)

第2節 協働による災害対策の推進(第14条―第21条)

第3節 災害に強いまちづくりの推進(第22条―第30条)

附則

自然は、私たちの暮らしに多大な恵みをもたらす一方、時として人知を超えた猛威を振るい、人々の生活に甚大な被害をもたらしてきた。

平成23年3月11日、戦後最悪の大震災を招いた東北地方太平洋沖地震とそれに伴う大津波が発生し、四面環海の日本において、豊穣をもたらし、憩いを与えてくれる美しい海とともに暮らし、豊かな伝統や文化を育み、紡いできた地域が壊滅的な被害を受け、数多くの人々の尊い命や暮らしを一瞬にして奪い去った。

私たちは、この惨禍をしっかりと受け止め、風化させることなく、次の世代へと引き継いでいかなければならない。

また、平成24年6月に北海道は、平成17年に公表した500年間隔地震の切迫性が高まっている中で、北海道太平洋沿岸部における津波浸水予測図を改訂し、地震の規模、津波の高さ、浸水域ともに、これまでの想定をはるかに超えた東日本大震災に匹敵する想定を公表した。さらに近年、国内では、台風やゲリラ豪雨と呼ばれる集中豪雨が発生し、甚大な被害をもたらしている。

人は、自然災害の発生を予測し、防ぐことはできない。しかし、私たちは、英知を集め、効果的な対策を講じることにより、被害を最小限に止めることは可能である。

そのためには、町はもちろんのこと、町民一人ひとりが、また、事業者それぞれが、自らの力で自らを災害から守るために共に力を合わせて、全力で取り組むことが必要不可欠である。

いつか必ずやってくる大規模災害に備え、町民、事業者及び町が適切な役割分担のもと、自助・共助・公助が相互に連携し合った、災害に強い、町民が安全で安心して暮らすことができるまちの実現を目指し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、災害対策に関し、基本理念を定め、並びに町民、事業者及び町の責務を明らかにするとともに、災害予防、災害応急対策、災害復旧その他必要な災害対策の基本となる事項を定めることにより、災害対策を総合的かつ計画的に推進し、もって災害から町民の生命、身体及び財産を保護するとともに、災害に強い安全で安心して暮らせるまちの実現を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 災害 暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、津波その他の異常な自然現象により生ずる被害をいう。

(2) 防災 災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ることをいう。

(3) 自主防災組織 町民がその居住する地域において、自主的に結成する防災組織をいう。

(4) 要配慮者 高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者をいう。

(5) 避難行動要支援者 要配慮者のうち、災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者であって、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要するものをいう。

(基本理念)

第3条 災害対策は、町民及び事業者(以下「町民等」という。)が自己の責任により自らを災害から守る自助、町民等が地域において相互に助け合い互いを災害から守る共助並びに町が町民等を守るための施策を推進する公助を基本として、町民等及び町が男女双方の視点、要配慮者への支援等に配慮しながら、それぞれの責務と役割を果たすとともに、相互に連携し、及び協働して行わなければならない。

(地域防災計画への反映)

第4条 災害対策基本法(昭和36年法律第223号。以下「法」という。)第16条第1項の規定により設置した厚岸町防災会議は、法第42条第1項の規定により作成した厚岸町地域防災計画を修正するに当たっては、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)を反映させなければならない。

第2章 自助

(町民の自助)

第5条 町民は、次に掲げる事項について、自ら災害に備えるよう努めなければならない。

(1) 自らが居住し、又は使用する建築物その他の工作物の安全の確保を図ること。

(2) 家具の転倒及び物品の落下を防止するための措置を講ずること。

(3) 出火を防止するための措置を講ずること。

(4) 災害時の初期対応に必要な用具を準備すること。

(5) 災害時に自らが必要とする飲料水、食料、医薬品その他の物資の備蓄又は確保を図ること。

(6) 災害時に必要な情報を収集できる機器を準備すること。

(7) 避難場所及び避難所(以下「避難場所等」という。)、避難経路並びに避難方法を確認すること。

(8) 災害時の連絡先及び連絡方法を確認すること。

(9) 町が実施する防災に関する訓練及び研修に積極的かつ継続的に参加すること。

(10) 前各号に掲げるもののほか、日常の災害対策に関し必要な事項

2 町民は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合(以下「災害発生時等」という。)において、当該災害に関する情報に留意し、必要と判断したときは、自主的に避難するとともに、町から高齢者等避難、避難指示又は緊急安全確保の発令があったときは、速やかにこれに応じて行動するものとする。

3 津波により浸水するおそれのある地域の町民は、津波に関する予報若しくは警報が発表されたとき又は津波による被害の発生が予想されるときは、町が指定する避難場所等、高台その他の安全な場所へ直ちに避難するとともに、避難指示が解除されるまでの間、避難を継続するよう努めるものとする。

(事業者の自助)

第6条 事業者は、従業員及び顧客(以下「従業員等」という。)の安全を確保するため、次に掲げる事項について、災害に備えるよう努めなければならない。

(1) 事業活動で使用する建築物その他の工作物の安全の確保を図ること。

(2) 事業活動で使用する物品等の転倒、落下等を防止するための措置を講ずること。

(3) 出火を防止するための措置を講ずること。

(4) 災害時の初期対応に必要な用具を準備すること。

(5) 災害時に従業員等が必要とする飲料水、食料その他の物資の備蓄又は確保を図ること。

(6) 避難場所等、避難経路及び避難方法を確認し、並びに従業員等へ周知すること。

(7) 災害対策に関する知識及び技術を従業員等へ周知し、並びに防災訓練を実施すること。

(8) 災害時に必要な情報を収集できる機器の準備並びに従業員等への伝達の手段の確認、確保及び周知を行うこと。

(9) 前各号に掲げるもののほか、日常の災害対策に関し必要な事項

2 事業者は、災害発生時等において従業員等が迅速かつ円滑に避難することができるように、災害に関する情報の提供、避難の誘導等を行うよう努めるものとする。

3 津波により浸水するおそれのある地域に事業所又は事務所を有する事業者は、津波に関する予報若しくは警報が発表されたとき又は津波による被害の発生が予想されるときは、従業員等が町が指定する避難場所等、高台その他の安全な場所へ直ちに避難することができるように、災害に関する情報の提供、避難の誘導等を行うよう努めるものとする。

第3章 共助

(町民による共助)

第7条 町民は、地域社会の一員として、自発的な災害予防の活動及び災害時における避難活動、負傷者の救護その他の災害対策に関する活動(以下「自主防災活動」という。)に参加するよう努めるものとする。

2 町民は、互いの生命、身体及び財産を災害から守るため、自主防災組織を結成するよう努めるとともに、自主防災組織の自主防災活動に積極的に参加するよう努めるものとする。

(自主防災組織による共助)

第8条 自主防災組織は、地域住民と協力して、地域における自主防災活動を実施することにより、地域住民の安全確保に努めるものとする。

(事業者による共助)

第9条 事業者は、町民及び自主防災組織と連携し、地域における自主防災活動に協力するよう努めるものとする。

(要配慮者の援護)

第10条 町民、自主防災組織及び事業者は、要配慮者が災害時に安全を確保できるよう援護に努めるものとする。

第4章 公助

第1節 基本方針

(町の責務)

第11条 町は、法第5条の規定に基づき、災害の予防、応急対策及び災害復旧に関する必要な対策(以下「災害対策事業」という。)を推進することにより、町の地域並びに町民の生命、身体及び財産を災害から守るよう努めなければならない。

2 町は、災害対策に関して町民から意見を聞くように努めるとともに、必要と認められる場合には、災害対策事業に反映させるよう努めるものとする。

3 町は、国、道及び関係機関と連携し、災害を未然に防止し、又は被害の拡大を防ぐことができるよう、防災に関する施設及び設備について、計画的に整備を図るよう努めるものとする。

4 町は、災害発生時等において町の職員が迅速かつ的確に対処することができるよう、防災に関する訓練及び研修の実施により、町の職員の災害及び防災に関する知識の習得、災害発生時等にとるべき行動の修得並びに防災意識の高揚に努めなければならない。

5 町は、災害対策事業を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(町の職員の責務)

第12条 町の職員は、町民の安全を確保するため、防災に関する知識及び技術の習得に努めなければならない。

(基本方針)

第13条 町は、第3条に定める基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本として、災害対策を推進するものとする。

(1) 町民等との協働により、災害対策を推進すること。

(2) 災害時の備えを中心とした災害に強いまちづくりを推進すること。

(3) 本町の地域特性に応じた災害対策を推進すること。

第2節 協働による災害対策の推進

(自主防災組織の育成及び支援)

第14条 町は、自主防災組織を育成するため、必要な助成及び研修の実施並びに自主的な防災に係る意識の啓発に努めるとともに、自主防災組織の自主防災活動の促進を図るため、指導的な役割を担う人材の育成その他必要な支援に努めなければならない。

(避難行動要支援者への支援)

第15条 町は、あらかじめ、避難行動要支援者に関する情報を把握するよう努めるとともに、避難行動要支援者その他の要配慮者への情報の提供及び避難の支援を円滑に行うための体制の整備に努めなければならない。

(防災に関する知識の普及)

第16条 町は、防災講演会を実施する等防災に関する知識の普及を積極的に推進し、町民の防災に関する知識の向上及び防災に関する意識の高揚に努めなければならない。

(防災に関する教育等の実施)

第17条 町は、幼児、児童及び生徒が、防災に関する理解を深めるとともに、災害発生時等において自らの安全を確保するために適切な対応ができるよう、防災に関する教育及び訓練を実施するものとする。

2 学校教職員、保育士等は、災害発生時等において適切な対応ができるよう、防災に関する訓練及び研修への参加に努めるものとする。

(防災訓練の実施)

第18条 町は、国、北海道及び関係機関と連携を図り、防災訓練を積極的に実施するよう努めなければならない。

(情報の提供)

第19条 町は、危険箇所、避難場所等その他災害対策に係る施設等を表示した地図を作成し、災害対策に関する情報を町民に提供しなければならない。

(情報収集伝達体制の整備等)

第20条 町は、災害発生時等における情報を早急かつ正確に収集し、及びこれらの情報を伝達するための体制を整備するとともに、町民が避難場所等においてこれらの情報を入手できる体制を整備しなければならない。

2 町は、災害発生時等において、前項に規定する体制に基づき、速やかに災害及び防災に関する情報を収集するとともに、町民等に対し、必要な情報を迅速かつ的確に提供するよう努めなければならない。

(ボランティア活動への支援)

第21条 町は、災害が発生した場合において、ボランティアによる被災者への支援活動が円滑に実施されるよう、関係機関と連携し、ボランティアの受入体制の整備等ボランティア活動の環境の整備に努めるものとする。

第3節 災害に強いまちづくりの推進

(応急医療体制の整備)

第22条 町は、あらかじめ災害時における応急医療体制を整備するとともに、災害時においては、町民等及び医療機関と連携協力し、傷病者の救護に当たらなければならない。

(物資の計画的な備蓄等)

第23条 町は、災害発生時等に備え、必要な物資及び資器材を計画的に備蓄し、整備し、及び点検し、並びに必要な避難場所等に配備するとともに、災害時等における円滑な運搬及び配給の体制を確立するよう努めなければならない。

(応急対策を行うための体制の確立)

第24条 町は、災害時においては、直ちに法第23条の2第1項の規定により設置する災害対策本部(以下「災害対策本部」という。)を中心とする応急対策を行うための体制を確立しなければならない。

(避難所の開設等)

第25条 町は、災害発生時等において避難者又は被災者の支援のため必要があると認めるときは、速やかに避難所を開設し、その運営に当たらなければならない。

2 町は、避難所の運営及び設営に当たっては、自主防災組織、ボランティア等と連携し、要配慮者、女性及び子どもに配慮するよう努めなければならない。

(施設又は設備の復旧)

第26条 町は、災害により電気、通信、交通その他の町民の生命又は社会生活の維持に必要な施設又は設備が被災したときは、各事業者に対し、速やかな復旧を要請するとともに、的確な情報提供を行うよう求めるものとする。

(復旧の推進)

第27条 町は、町内に甚大な災害が発生したときは、国、他の地方公共団体及び関係機関と連携協力して、早期の復旧に努めなければならない。

2 町は、前項に規定する場合には、町民生活の円滑な再建を図るため、早期に災害対策本部を中心とする復旧体制を確立しなければならない。

(事業者等との協定)

第28条 町は、災害が発生した場合において、避難所の提供、食料、飲料水等の生活物資の供給、緊急輸送の確保、応急の復旧に係る工事の施工その他の応急対策が迅速かつ的確に行われるよう、あらかじめ他の地方公共団体、応急対策の実施に係る事業者等との協定を締結するものとする。

(他の地方公共団体への支援)

第29条 町は、他の地方公共団体において大規模な災害が発生したときは、相互協力の理念に基づき、必要な支援を行うよう努めるものとする。

(降雪時における避難路等の確保)

第30条 町は、降雪時における避難路及び避難場所の確保対策を講じるものとする。

この条例は、平成25年4月1日から施行する。

(平成26年3月28日条例第6号)

この条例は、平成26年4月1日から施行する。

(令和3年7月1日条例第20号)

この条例は、公布の日から施行する。

厚岸町災害対策基本条例

平成25年3月27日 条例第23号

(令和3年7月1日施行)

体系情報
第10類 防災・消防/第1章 災害対策
沿革情報
平成25年3月27日 条例第23号
平成26年3月28日 条例第6号
令和3年7月1日 条例第20号