2.社会教育の推進
社会教育は、人々が暮らしの中で学習活動等を通して文化的教養を高め、心の豊かさや生きがいをもたらすとともに、学校と家庭・地域社会の連携を促し、地域の絆を強め活力あるコミュニティの形成を司る役割を果たしています。
また、少子化・核家族化により人間関係が希薄化し、個人や地域が抱える課題も多様化・複雑化する中、子どもについては「生きる力」を、成人については、自立した一人の人間として力強く生きていくための「総合的な力」を養うために社会教育の一層の充実が必要です。
本年度も現代的・社会的課題に対応した施策を通じ、学習しやすい環境を整えるとともに、幼児から高齢者まで広く参加できる事業を推進してまいります。
1点目は、家庭や子どもへの教育についてであります。子どもの健やかな成長には家庭の教育力向上が不可欠です。子育てに不安や悩みを抱える親は多く、親の育ちを応援する必要がある状況から、多くの親が集まる機会に子育てに関する学習会の実施や情報発信をしてまいります。
また、子どもが正しい生活習慣を身につけるために最も基本的なことである「早寝・早起き・朝ごはん」の啓発活動を継続して進めていくほか、社会性や人間性を育むための体験活動の機会を提供してまいります。
継続して実施している「友好都市子ども交流事業」について、本年度は、本町に村山市の児童を迎え、体験活動等を通した交流事業を実施してまいります。
また、近年喫緊の課題となっている防災意識の高揚と必要な知識の習得を目指し、厚岸町防災訓練と連携した防災キャンプの実施と防災標語の募集を継続して実施いたします。
2点目は、成人の学びについてであります。現在の多様化する価値観の中で、生涯の趣味や学習方法も多彩になり、数多くのサークルや団体による活動が行われています。学びは個人の情操だけではなく、仲間づくり、地域づくりのために必要であります。本年度も、町民の学びの機会を提供するための講座や講演会を実施し、「生涯学習カレンダー」や情報告知端末等による情報提供を行ってまいります。
また、生涯学習の拠点施設としての機能を併せ持った真龍小学校における文化講座につきましては、講座・参加者数とも定着してきており、町民の「教えたい」「学びたい」を形にした活動として、本年度もさらなる充実を図ってまいります。
3点目は、芸術・文化の振興についてであります。芸術・文化は人々の創造性を広げ、生活に潤いを与えると共に心に豊かさを育みます。本年度もそれぞれの世代を対象にした鑑賞機会を設けるとともに、日頃から文化活動をされている人々の発表の場として町民文化祭を文化協会と連携して開催するほか、芸術文化関係団体等への活動支援を図ってまいります。
4点目は、文化財の保護についてであります。本町には、国指定をはじめ、貴重な文化財が数多く残されております。これらを後世へと守り伝えていくことは、私たちの責務と考えております。
現在、海事記念館をはじめ、郷土館、太田屯田開拓記念館において、資料の整理・保管・展示を実施しておりますが、各施設の活動を通して、これら郷土資料の活用と情報の発信に努めてまいります。
また、文化財の見学会や講演会、古文書教室などの学習会を開催し、文化財保護に対する意識の高揚とさらなる普及に努めてまいります。
国指定史跡「国泰寺跡」の整備事業につきましては、昨年に引き続き基本となる整備計画の作成に向け、事業を推進してまいります。
床潭沼のヒブナ生息調査につきましては、実施時期や調査回数等を検討しながら実施しているところでありますが、本年度もヒブナの生息を確認すべく、調査を実施してまいります。
町指定無形文化財の「厚岸かぐら」につきましては、本年度も、伝承校であります真龍小学校と協力し、無形文化財の継承活動を支援してまいります。
また、古くから受け継がれてきた文化の一つである「獅子舞」について、その意義や目的、習わしといった事柄を記録として残し、後世に継承していく事業を実施してまいります。
アッケシソウにつきましては、厚岸湖岸の生育確認調査を実施し、アッケシソウの生育分布を探ります。また、海事記念館前においてプランターでの試験栽培を実施し、生育状況の観察を行い、町の名の付いた「アッケシソウ」をより多くの人に親しんでもらえるよう情報発信に努めてまいります。
5点目は、海事記念館事業についてであります。町内児童施設や小中学校との連携によるプラネタリウムの活用や、釧路・根室管内小中学校への利用促進を図るとともに、釧路市こども遊学館との連携による移動天文車「カシオペヤ号」による「ほしぞら教室」を継続実施し、天文知識の普及を図ります。また、「海の作品展」や「海事記念館クイズ」の実施、写真展や郷土資料展の開催など博物館事業の推進に努めてまいります。
6点目は、情報館事業についてであります。本年度は子どもの読書環境を整備することを目的とした「厚岸町子ども読書活動推進計画」の4年次目となります。子どもの読書活動を積極的に推進していくため、町内の読み聞かせボランティア団体や学校との連携・協力を図りながら、保育所や幼稚園、学校での読み聞かせやブックトークなどの読書案内を行い、子どもの読解力や言語力を養い、豊かな心を育む事業を引き続き実施いたします。加えて第二次「厚岸町子ども読書活動推進計画」の策定に向けて検証も行ってまいります。
また、学校向け団体貸出や学校図書館活性化会議等の機会を通して学校図書館の整備充実を支援してまいります。さらに保健福祉課や社会福祉協議会と連携を密にしながら、乳幼児には「ブックスタート」「絵本のひろば読み聞かせ」を、高齢者には「お年寄りのための読み聞かせ」などの読書サービスを引き続き開催し、町民の生涯にわたる読書環境の整備に努めてまいります。
パソコン講習につきましては、実習室パソコンの機器更新を行い、初級者から上級者まで町民ニーズに対応した多様な講習会を引き続き開催してまいります。
図書館バスにつきましては、学校や保育所、集会所などの施設をはじめ、遠隔地を巡回し、情報館の各種サービスをきめ細かに提供してまいります。