○厚岸町豊かな環境を守り育てる基本条例

平成15年3月25日

条例第1号

厚岸町は、北海道の東南部に広がる根釧原野に位置し、きれいな巴型の「厚岸湾」とその奥の汽水湖「厚岸湖」を抱える。

町のほぼ中央には、太古の面影を残す別寒辺牛川がラムサール条約登録湿地の別寒辺牛湿原を貫いて厚岸湖に注ぐ太平洋に面した景勝の地である。

この地は豊かな自然の恵みのもと、先人たちの英知により古くから拓かれ、人と環境が調和した固有の文化を育んできた。

厚岸町は漁業と酪農を基幹産業とする町である。この基幹産業を育て、住み良い町をつくるために、目の前にある豊かな海と大地を守ろうと、私たちはいろいろな取組や政策を実施してきた。

第一次産業にとって、海と大地はその生産の基盤であり、消費者が求める「おいしくて安全な食料」は、環境の保全なくしては成り立たない。また、豊かな自然を守り育てることは、私たちの豊かな生活の実現に欠くことのできないものである。

そして、このような努力は、今日問題となっている地球規模での環境問題の解決にも寄与できるものと確信している。

私たちは、健康で文化的な生活を営むため、良好な環境の恵みを享受する権利を有するとともに、良好な環境を保全、維持及び創造しながら将来の世代に引き継いでいく責務を担っている。

私たち一人ひとりが、生活と環境との関わりなどについて理解を深め、協力し合いながら努力し、行動していくことにより、豊かに恵まれた自然や歴史的文化遺産などを、次の世代に残していかなければならない。

ここにその使命を自覚し、すべての者の参加と協働により、資源の循環と人と自然との共生をすすめ、環境への負荷の少ない持続可能な地域社会の実現を目指して、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、良好な環境の保全、維持及び創造(以下「環境の保全及び創造」という。)について、基本理念を定め、並びに町、町民及び事業者の連携のもとでそれぞれの果たすべき責務を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることにより、その施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の町民の健康で文化的な生活を確保することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるもの又は原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに、町民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生じる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生じることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、資源が有限であり、また、環境の復元力に限界があることを認識し、すべての者が環境への負荷を低減する努力を続けることにより、持続可能な地域社会が築き上げられるように行われなければならない。

2 環境の保全及び創造は、多様な生物が生息又は生育できる豊かな自然環境が、広域的な広がりの中で守り育てられるとともに、身近な自然を大切にする心を養い、自然とのふれあいを深めることにより、人と自然との共生が実現されるように行われなければならない。

3 環境の保全及び創造は、すべての者が公平な役割分担のもとに、自主的かつ積極的に、資源の適正な管理及び循環的な利用の推進等の良好な環境の保全に関する活動に取り組むことによって、行われなければならない。

4 環境の保全及び創造は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが、人の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることから、環境の恵みを等しく分かち合うため、将来の町民に良好な環境を引き継いでいけるように、適切に行われなければならない。

(町の責務)

第4条 町は、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び計画的に実施するとともに、当該施策について評価を行わなければならない。

2 町は、環境の保全及び創造に関する必要な調査研究を行わなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、町は、町民及び事業者が環境保全活動を行う場合には、助言その他の必要な支援を行うものとする。

(町民の責務)

第5条 町民は、住み良い生活環境を築くため、自らの行動によって良好な環境を損なうことのないようにお互いに配慮するとともに、日常生活に伴う環境の保全上の支障を防止するため、資源及びエネルギーの消費並びに廃棄物の排出等による環境への負荷を低減するように努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、町民は、自ら又は協働して、環境の保全及び創造に積極的に努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力しなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、その事業活動を行うに当たって、これに伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するため、自らの負担と責任において、必要な措置を講じなければならない。

2 事業者は、物の生産、製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、廃棄物の発生を抑制し、及び再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、自ら又は協働して、環境の保全及び創造に積極的に努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力しなければならない。

第2章 環境の保全及び創造に関する基本方針等

(施策の基本方針)

第7条 町は、環境施策の策定及び実施に当たっては、次に掲げる事項を基本として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ、これを総合的かつ計画的に行わなければならない。

(1) 大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素を良好な状態に保持することにより、人の健康を保護し、及び生活環境を保全すること。

(2) 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保に努め、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境の保全及び回復を図ることにより、人と自然が健全に共生することのできる良好な環境を確保すること。

(3) 人と自然との豊かなふれあいを確保し、自然環境及び歴史的、文化的な遺産並びにこれらの特性を生かした魅力あるまちづくりを図ることにより、より質の高い環境を創造すること。

(4) 廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用を推進し、並びに環境の保全及び創造に関する技術等を活用することにより、環境への負荷の少ない循環型社会を構築するとともに、地球環境保全に貢献すること。

(環境基本計画)

第8条 町長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、環境の保全及び創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する長期的な目標

(2) 環境の保全及び創造に関する施策の基本的事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関し必要な事項

3 町長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、厚岸町環境審議会の意見を聴くとともに、町民及び事業者の意見を反映することができるように、必要な措置を講じなければならない。

4 町長は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なくこれを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

第3章 環境の保全及び創造に関する基本的施策

(施策の策定等に当たっての配慮)

第9条 町は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境への負荷が低減されるように十分に配慮するものとする。

(環境影響評価の措置)

第10条 町は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を行う事業者が、あらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することができるように、必要な措置を講ずるものとする。

(規制の措置等)

第11条 町は、公害を防止するため、公害の原因となる行為に関し、必要な規制の措置を講ずるものとする。

2 町は、自然環境の保全を図るため、自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれのある行為に関し、必要な規制の措置を講ずるものとする。

3 前2項に定めるもののほか、町は環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるように努めるものとする。

(経済的措置等)

第12条 町は、町民及び事業者が自らの行為に係る環境への負荷の低減に資する施設の設備その他の環境の保全及び創造のための措置をとるように誘導するため、必要かつ適正な経済的支援その他の措置を講ずるように努めるものとする。

(環境の保全及び創造に資する施設の整備等)

第13条 町は、下水道、廃棄物の処理施設その他の環境の保全上の支障を防止し、又はその防止に資する公共的施設の整備を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

2 町は、公園、緑地その他の公共的施設の整備その他の環境の保全及び創造に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(廃棄物の減量、資源の循環的な利用等の推進)

第14条 町は、環境への負荷の低減を図るため、町民及び事業者による廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

2 町は、環境への負荷の低減を図るため、廃棄物処理の適正化を推進するとともに、町の施設の整備及び維持管理その他の事業の実施に当たっては、廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用を推進するものとする。

(環境への負荷の低減に資する製品等の利用の推進)

第15条 町は、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する製品、原材料、役務等の利用の推進を図るため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(多様な自然環境の保全等)

第16条 町は、人と自然が健全に共生することのできる良好な環境を確保するため、多様な自然環境の保全及び回復を図るとともに、その持続可能な利用が促進されるように必要な措置を講ずるものとする。

(良好な水環境の保全等)

第17条 町は、河川、湿原、湖沼、海域等における良好な水環境の保全に努めるとともに、健全な水循環及び安全な水の確保のために必要な措置を講ずるものとする。

(環境と調和した農業及び漁業の促進)

第18条 町は、環境への負荷の低減と安全な食料の生産を図るため、肥料及び農薬の適正な使用並びに漁場の保全や機能回復及び水産資源の適正な管理等により、環境と調和した農業及び漁業が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

2 町は、農業及び漁業から生じる廃棄物が適正に処理され、並びに循環的に利用されるように必要な措置を講ずるものとする。

(調査等の実施)

第19条 町は、環境の状況等を的確に把握し、環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、必要な調査、監視、測定等を実施するものとする。

(環境学習及び環境教育の推進等)

第20条 町は、町民及び事業者の環境の保全及び創造についての関心と理解が深められるとともに、これらの者による環境の保全及び創造に関する自発的な活動の促進を図るため、環境の保全及び創造に関する学習及び教育の推進その他の必要な措置を講ずるものとする。

(自発的な活動の促進)

第21条 町は、町民、事業者又はこれらの者が組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う緑化活動、環境美化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全及び創造に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

(情報の収集、提供及び公表)

第22条 町は、環境の保全及び創造に関する情報を収集し、これを適正に提供するように努めるものとする。

2 町長は、毎年、環境の状況並びに環境の保全及び創造に関して講じた施策の実施状況について年次報告書を作成し、公表するものとする。

(国及び他の地方公共団体との協力)

第23条 町は、広域的な取組を必要とする環境の保全及び創造に関する施策について、国及び北海道と協力するとともに、他の市町村等と連携を図り、その推進に努めるものとする。

(地球環境保全の推進)

第24条 町は、地球温暖化の防止及びオゾン層の保護等の地球環境保全に資する施策を積極的に推進するものとする。

(推進体制)

第25条 町は、環境の保全及び創造に関する施策について総合的な調整を行い、及び計画的に推進するために必要な体制を整備しなければならない。

2 町は、環境の保全及び創造に関する施策の効率的かつ効果的な推進を図るため、町、町民、事業者及び民間団体等が協働することのできる体制の整備に努めるものとする。

(町民等の意見の反映)

第26条 町は、環境の保全及び創造に関する施策について、町民、事業者、民間団体等の意見を反映できるように必要な措置を講ずるものとする。

第4章 厚岸町環境審議会

(設置)

第27条 環境の保全及び創造に関する基本的な事項等を調査審議するため、厚岸町環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事項)

第28条 審議会は、次に掲げる事項を調査審議する。

(1) 町長の諮問に応じ、環境基本計画に関すること。

(2) 町長の諮問に応じ、環境の保全及び創造に関する基本的事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、法令又は他の条例の規定によりその権限に属された事項

2 審議会は、前項に規定する事項に関し、町長に意見を述べることができる。

(組織等)

第29条 審議会は、委員12人以内で組織する。

2 前項に定めるほか、特別の事項を調査審議するため必要があるときは、審議会に臨時委員を置くことができる。

3 委員及び臨時委員は、環境に関し識見を有する者のうちから町長が委嘱する。

4 委員の任期は、2年とし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 委員は、再任されることができる。

6 臨時委員は、その者の任命に係る当該特別の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする。

(会長及び副会長)

第30条 審議会に、会長及び副会長を置き、委員の互選により選出する。

2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。

(部会)

第31条 審議会は、その定めるところにより、部会を置くことができる。

2 部会に属すべき委員は、会長が指名する。

3 部会に部会長を置き、部会に属する委員の互選により選出する。

4 部会長は、部会の事務を総理する。

5 部会長に事故があるときは、部会に属する委員の中から、部会長があらかじめ指名する委員がその職務を代理する。

6 審議会は、その定めるところにより、部会の決議をもって審議会の決議とすることができる。

(会議)

第32条 審議会は、会長が招集し、会長が議長となる。

2 審議会は、委員の半数以上が出席しなければ会議を開くことができない。

3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

4 審議会は、必要があると認めるときは、関係者の出席を求め、その説明を聴くことができる。

5 前4項の規定は、部会の会議に準用する。この場合において、「審議会」とあるのは「部会」と、「会長」とあるのは「部会長」と読み替えるものとする。

(審議会及び部会招集の特例)

第32条の2 会長は、緊急の必要があり審議会の会議を招集する暇がない場合その他やむを得ない理由のある場合は、議事の概要を記載した書面を各委員に回付し、賛否を問い、審議会の会議に代えることができる。

2 前項の規定は、部会の会議に準用する。この場合において、「審議会」とあるのは「部会」と、「会長」とあるのは「部会長」と読み替えるものとする。

3 前条第2項及び第3項の規定は、前2項の場合について準用する。

(報酬等の支給)

第33条 委員の報酬及び費用弁償は、厚岸町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成12年厚岸町条例第37号)の規定により支給する。

附 則

(施行期日)

1 この条例は、平成15年4月1日から施行する。

(厚岸町公害防止並びに環境保全に関する条例の一部改正)

2 厚岸町公害防止並びに環境保全に関する条例(昭和50年厚岸町条例第10号)の一部を次のように改正する。

(次のよう略)

(経過措置)

3 この条例施行の際現に改正前の厚岸町公害防止並びに環境保全に関する条例第38条第1項の規定による厚岸町公害等対策審議会の委員となっている者は、この条例の第29条第3項の規定により厚岸町環境審議会の委員の委嘱を受けたものとみなし、その任期は、平成15年6月30日までとする。

附 則(平成15年6月27日条例第35号)

この条例は、公布の日から施行する。

附 則(平成16年3月18日条例第15号)

(施行期日)

1 この条例は、平成16年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行により新たに厚岸町豊かな環境を守り育てる基本条例(平成15年厚岸町条例第1号)第29条第3項の規定に基づく委嘱を受けた委員の最初の任期は、同条第4項の規定にかかわらず、平成17年6月30日までとする。

附 則(令和3年3月30日条例第14号抄)

(施行期日等)

1 この条例は、令和3年3月30日から施行し、令和2年4月1日から適用する。

厚岸町豊かな環境を守り育てる基本条例

平成15年3月25日 条例第1号

(令和3年3月30日施行)

体系情報
第7類 生/第3章 環境保全
沿革情報
平成15年3月25日 条例第1号
平成15年6月27日 条例第35号
平成16年3月18日 条例第15号
令和3年3月30日 条例第14号