1.学校教育の充実

 第一は、学校教育の充実についてであります。
 学校教育におきましては、学習指導要領の趣旨を十分に踏まえるとともに、学校・家庭・地域・教育行政が連携し信頼される学校づくりを進めることを基本方針として、次の9つの重点に取り組んでまいります。
 重点の1は、「確かな学力の育成」であります。
 「確かな学力」の育成には、学習意欲を基盤とした、基礎的・基本的な知識・技能の習得とその活用を通じて、思考力、判断力、表現力等をバランスよく伸ばしていくことが重要であります。児童生徒の学力や学習状況を的確に把握し、授業改善の確立を図りながら「確かな学力」の育成に努めてまいります。そのための施策について申し上げます。
 1点目は、授業改善と個別指導の充実についてであります。各教科の指導にあたっては、習熟度別少人数指導やチームティーチングなど、個に応じた効果的な指導の充実に取り組んでまいります。
 また、放課後や長期休業中での補充学習の充実を図り、「わかる」「できる」を実感させ一人一人が意欲を持って学習に取り組めるよう支援してまいります。さらに、各種学力調査結果の分析から、課題となる観点や領域を明らかにし、授業改善や学習習慣の確立を通して、基礎学力の定着と活用力の育成を図ってまいります。
   2点目は、郷土の歴史・文化・産業・施設を生かした教育の推進であります。「厚岸音頭」の児童生徒への普及をはじめ、郷土に受け継がれた文化を継承するとともに、豊かな自然、多様な産業、特色ある教育・文化施設など、厚岸町の財産でもある「人」「もの」「こと」を活用した教育を積極的に推進してまいります。
 3点目は、外国語指導助手(ALT)の活用の推進についてであります。平成32年度実施予定の学習指導要領の改訂にむけ、英語教育の充実が検討されております。今年度も2名のALTを有効活用し、小学生から児童生徒の学ぶ意欲の高揚やコミュニケーション能力の育成を図ってまいります。
 重点の2は、「豊かな心の育成」であります。
 児童生徒に、自他の生命や人権を尊重する心、思いやりの心、規範意識や公徳心、自然を愛する心など、豊かな心を育むための施策について申し上げます。
 1点目は、子どもの人間関係力を育む生徒指導の充実についてであります。各学校においては、「学校いじめ防止基本方針」のもと、いじめの未然防止、早期発見、早期対応を徹底し、すべての子どもたちが安心して生活できる環境を整備してまいります。今後も、「いじめ根絶に向けた一学校一運動」や「学級満足度調査」、「いじめ実態調査」などを継続実施して、互いに認め合い、思いやることのできる人間関係づくりに努めてまいります。
 また、引き続きスクールカウンセラーを配置し、学校の教育相談機能の充実を図り、児童生徒の心の成長を側面から支援してまいります。
 2点目は、道徳教育の充実についてであります。子どもたちが、お互いを尊重しながら相互に支えあい、充実した学校生活を送るためには、思いやりの心や社会性、規範意識などの豊かな人間性を培うことが重要であります。「わたしたちの道徳」や副読本を活用したりするなど道徳の指導の充実を図るとともに、保護者や地域に学習の様子や学校の取組を積極的に公開してまいります。
 3点目は、学校内外における体験活動の促進についてであります。自然体験活動やボランティア活動、高齢者とふれ合う活動などの体験活動は、子どもの社会参加に向けた貴重な体験の場となることから、学校教育の中に積極的に位置づけ、学校行事との関連を図った一体感のある指導に努めてまいります。
 重点の3は、「信頼される学校づくり」であります。
 1点目は、開かれた学校づくりの推進についてであります。家庭や地域に学校の教育活動を理解していただくため、参観日や学校行事を積極的に公開するとともに、学校便りや学校評議員を通して学校情報の発信に努め、「外から見える学校づくり」を推進してまいります。
 また、学校評議員制度や学校関係者評価を活用し、家庭や地域の理解をいただきながら、学校運営の改善と充実を図り、信頼される学校づくりを推進してまいります。教育委員会といたしましても、町の広報媒体を通じて、町の教育行政や学校の様子を積極的に地域・家庭に発信してまいります。
 2点目は、教職員の資質向上についてであります。指導室及び教育局指導主事による学校教育指導や、町立教育研究所と連携した「教員授業力向上研修会」の開催、校内研修の充実と学校外における各種研修会や講座等への参加促進及び職場への還元により、教えるプロとしての自覚と指導力の向上を推進してまいります。
 さらに、教育委員会において研究校を指定し、公開研究授業・研究協議を通して、町内小中学校全体の授業力向上を推進してまいります。へき地・複式校につきましては、児童間の交流授業や複式研究会を開催し、「へき地」「小規模」「複式形態」の特性を生かした教育活動を展開してまいります。
 また、子どもへの体罰など教職員に対する不祥事防止に向けた指導を徹底し、服務規律の厳正保持に努めてまいります。
 3点目は、家庭と連携した児童生徒の生活習慣の改善についてであります。「全国学力・学習状況調査」「全国体力・運動能力等調査」の結果・分析をもとに、望ましい生活習慣の確立を図るため、積極的に情報提供に努めてまいります。特に、全国的な教育課題となっておりますゲーム機や携帯・スマートフォンなど情報端末に係る指導と同時に、家庭において学習・運動・読書習慣の確立が図られるよう取組を進めてまいります。
 重点の4は、「健康・安全に関する教育の推進」であります。
 1点目は、防災教育の充実についてであります。平成26年度から「厚岸町版津波防災教育のための手引き」を活用した防災学習が始まりました。厚岸の児童生徒には、小中9年間の発達段階に応じた防災教育を通して、自らの力で状況に応じた判断や行動をとり危機を回避する力を身につけさせるとともに、主体的に防災訓練に参加するなど、高い防災意識を持たせるよう努めてまいります。また、引き続き火災や地震を想定した避難訓練、普通救命講習等を実施し、学校教育全体を通して体制整備に努めてまいります。
 2点目は、安全面についてであります。学校の危機管理マニュアルの機能充実に努めるとともに、交通安全教室の開催、自転車マナーの指導や防犯訓練を関係機関と連携の上、計画的に実施し、予防指導に努めるとともに、教職員・保護者・地域関係者による街頭指導や通学路の安全点検などを継続してまいります。不審者から身を守るための指導と対策については、子どもたちが適切な退避行動がとれるよう引き続き指導を徹底してまいります。
 また、ネット犯罪による被害防止や情報モラルの育成を図るため、警察や携帯電話会社から外部指導者を招聘し、防犯教室や講習会を実施いたします。
 3点目は、健康面についてであります。児童生徒の健やかな成長を願い、歯の健康や喫煙・薬物乱用防止、食に関する指導、「早寝・早起き・朝ごはん」運動を継続していくとともに、町民がつくる健康なまちづくり計画「みんなすこやか厚岸21」と連動した中で取組を進めてまいります。
 また、各種体力・運動能力調査の結果を踏まえ、体育・健康に関する指導の改善を図ってまいります。各校の体力向上プランに基づき、子どもの体力向上に向け、授業改善を図りながら年間を通した健康・体力づくりの推進に取り組んでまいります。
 4点目は、学校給食についてであります。栄養バランスのとれた給食の提供により、成長期にある児童生徒の健康増進を図るとともに、アレルギー体質に対応した代替食への対応提供により、安全で安心な学校給食の提供に努めます。
 また、学校における食育では、食事の重要性と望ましい栄養や食事のとり方、食品に対する知識・理解を図るとともに、豊かな自然に恵まれた本町の地場産物を活用しながら、食物を大切にし、食物の生産などに関わる人々への感謝の心を育み、郷土に対する意識の高揚と、地域産業や食文化への学びに向けた給食指導に取り組んでまいります。
 さらに、家庭における食育では、給食だよりによる継続的な情報発信や、参観日を活用した親子給食の実施により、食に関する啓発に努めてまいります。
 重点の5は、「特別支援教育の充実」であります。
 1点目は、個のニーズに対応する体制の充実についてであります。各学校における取組の交流や研修を通して教師の専門性を図るとともに、校内支援体制のさらなる充実に努めてまいります。
 また、特に支援を要する児童生徒については、特別学級支援員の配置により、一人一人の実態に応じた教育支援を継続してまいります。
 2点目は、関係機関との連携についてであります。教育委員会、学校並びに関係機関が一丸となり子どもの状況把握に努めるとともに、一人一人の能力や可能性を伸ばすことにより、将来の自立した社会参加が図られるよう教育支援を行ってまいります。
 また、特別支援学校や北海道教育委員会が実施している巡回教育相談及び学校訪問事業を活用しながら、関係する福祉・医療機関との連携を深め、継続した特別支援教育の充実に努めてまいります。
 重点の6は、「環境教育の推進・充実」であります。
 「豊かな環境を守り育てる基本計画」と連動した、学校における環境教育を充実させるための施策について申し上げます。
 1点目は、「学校版厚岸町環境マネジメントシステム」の取組についてであります。本年度も、全ての小中学校で「学校版厚岸町環境マネジメントシステム」の認定を受け、学校での実践を家庭・地域へ広げていく「発信型・実践型の環境教育」の展開に努めてまいります。
 2点目は、体験を重視した環境教育の取組についてであります。「身の回りの環境に触れること・知ること」を基本とし、厚岸の「人・もの・こと」を積極的に活用した教育活動を推進してまいります。
 また、厚岸町環境教育推進委員会との連携のもと、小・中・高校にわたる環境教育の充実に努めてまいります。
 重点の7は、「学校教育施設の充実」であります。
 1点目は、校舎並びに教員住宅の維持管理についてであります。校舎の補修については、継続的な施設点検と状況把握を行い、学校要望を踏まえながら、必要性を吟味した上で適切な維持管理に努めます。教員住宅については、屋根の塗装や外壁の補修並びに屋内設備の更新により、快適な住環境の整備と住宅の延命を図ってまいります。
 また、老朽化により入居不可能となった住宅について、年次的に解体を進めてまいります。
   2点目は、ICT(情報通信技術)環境整備についてであります。現在各学校では、ICTを活用した効果的な教育活動が展開されております。これからも情報技術の進歩に対応した学校教育の充実に向け、教員のICTに関する研修の推進と同時に、計画的なICTの環境整備に努めてまいります。
 重点の8は、「幼児教育並びに高等学校教育との連携」であります。
  1点目は、幼児教育についてであります。従来の幼稚園のまま存続する私立幼稚園児の保護者に対する就園奨励費について一部補助を実施するとともに、幼稚園運営費に対する補助を引き続き実施してまいります。
 また、幼児教育から学校教育へ円滑な接続を図るよう、個々の状態に応じた適切な教育支援を行うとともに、感染症の発症時における情報共有の強化など、引き続き関係機関との連携を図ってまいります。
    2点目は、高等学校教育への支援についてであります。「厚岸翔洋高等学校」は、水産科を有する道東唯一の職業科高校であり、調理師コースを設置した即戦力の社会人養成に重点をおいた高校であります。本年度も「高校通学バス定期券購入費助成」を実施し、保護者負担の軽減と入学生確保のため支援を行うとともに、高校と連携しながら特色ある教育課程の周知拡大に取り組んでまいります。
 重点の9は、「厚岸町立学校適正配置計画の更新」であります。文部科学省は、平成27年1月、約60年ぶりに公立小中学校の統廃合に関する手引きを改定しました。
 概要は、小学校6学級以下、中学校3学級以下を統合の目安と明示したほか、スクールバス利用による概ね1時間以内の広範囲な通学を認める一方で、地域における学校の重要性を踏まえ、小規模校存続の可否について自治体に選択を委ねる内容となっております。
 教育委員会といたしましては、改めて手引きの内容を精査するとともに、今後の児童生徒数の推移と望ましい教育環境の在り方について、引き続き保護者や地域へ情報提供を行うとともに、ご意見を伺いながら、学校適正配置計画の更新を進めてまいります。
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